マイナー科、美容外科は馬鹿にされてよい

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こんにちは!くまきちです🐻

タイトルでは美容外科と書きましたが、美容外科に限らず眼科や皮膚科、精神科などのマイナー科は医療業界の中では低く見られがちです(日本においては。諸外国ではむしろ眼科、美容外科などは超エリートしかなれない)。

これは、恐らくですが「楽して儲かってそう」「命にあんまり関係がない」というイメージから、そうなっているのだと思われます。

実際にくまきちが医学生のころ、レジナビの合同説明会で説明を聞いた某病院の担当者にこんなことを言われたことがあります。

くまきち「どんな人に来てほしくないですか?」

担当者「初期研修を適当にやって、すぐにマイナー科に入局し、速いうちに開業したいみたいな奴。楽したいとか、金のことしか考えてない奴かな。そういうのはお断りだね。まぁ、君は大丈夫だろうけど」

くまきち「……(;^ω^)」

初期研修を適当にやろうとは思ってなかったですが、興味のあるマイナー科も多かったし、いずれ開業も考えてたくまきちには衝撃的な一言でした。なんて見る目のない人だと思ったのと、こんな公の場でそんなにマイナー科を悪く言うか、と。

何も楽や金のためだけにマイナー科を志望する人だけではないだろうに。私も長年、耳鼻科疾患に悩まされており、かかった医者の99%が耳鼻科なので、医学部入学当初は耳鼻咽喉科になろうと思ってたくらいなので、ひどく否定された気分になりました。

ですが、今となっては、どんどん馬鹿にしてくれて良いと思っています。その理由を下記に示します。

1.日本の医療の構造的なおかしさ

驚くべきことですが、我が国の勤務医の給料は、科によってほとんど変わりません。極めて忙しいことが多い循環器内科や脳神経外科などと、そこまで忙しくないことが多い眼科や皮膚科などが同じくらいの給与水準なのです。こと美容外科などはさらに給与水準が高い傾向にあります。開業医に至っても、美容外科、眼科などはかなり利益水準は高い傾向にあります。

医療業界以外の様々な業界をみてきた僕も、これにはかなり驚愕しました。通常、激務でリスクが高ければ給与が高くなるべきだからです。そうしなければ人が集まらないからです。

現に、アメリカなどの医療業界では、心臓外科や脳神経外科はかなり高水準の年収を得ています(平均6000万くらい)。それでも、人気は眼科の方が上です。激務さとリスクを考えると、6000万では割に合わないと考えるからです。

ですから、普通に考えれば、脳神経外科と精神科などのマイナー科が同じ給与水準(むしろ開業のしやすさではマイナー科が上)の我が国では、脳神経外科に行く人などおらず、マイナー科に人気が一極集中するはずなのです。

しかし現実はそうなっていません。それは何故か?

それは、目に見えない「偉さ」というファクターが我が国にあるからです。

2. 目に見えない価値「偉さ」とは?

医学部、医療業界は極めて閉鎖的な社会であり、医学生ないし医師は、同業者からの視線をかなり気にします。

正直、眼科などのマイナー科に進もうとすると、「楽でいいとは思うけどねぇ」などと先輩から嫌味を言われたりします。美容外科に進もうなんて言ったらそれこそ白い目でみられます(なので、美容分野をやりたい人も、形成外科で癌の再建手術がやりたい!などと志望をごまかしたりします)。

逆に循環器内科や産婦人科、脳神経外科、心臓外科などに進みたいというと、「すごい!」と尊敬の目でみられます。これらの科は昔から命に直結するというイメージがあり、つまり「偉い」のです。

純粋に眼科や耳鼻科、精神科や美容外科に興味がある人には甚だ悲しい話ですが、どうしてもこのように見られがちなのです。

ですが、この「偉さ」という市場の歪みによって、我が国の医療は保たれてきたと言っても過言ではありません。もし、医療業界が完全に市場主義で成り立っていたら、激務でそこまで儲からない科に人は絶対に集まりませんから。

もし、この「偉さ」という目に見えないファクターがなくなってしまったら……

つまり、美容外科、眼科、皮膚科、マイナー科などが、真の意味で脳神経外科や心臓外科と同じくらい尊敬をされる科として扱われたとしたら、それはもう今よりもさらに激務な科に進む人が減ってしまうでしょう。その結果、医療崩壊が進んでしまうのではないかと思います。

※ちなみに、それなら忙しい科の給与水準を上げればいいのでは?と思うかもしれませんが、我が国の国家財政では厳しいのではないかと思います。

3.馬鹿にされるくらいが丁度いい

一昔前と異なり、それでも現状はマイナー科や美容外科が人気になっています。「偉さ」などという目に見えないことを気にするよりも、自分のやりたいことをやりたい!という価値観が医学生、研修医に浸透してきたからだと思います。

私も人の視線はあまり気にしないので、人からどう批判されようと、自分の道は自分で選びたく思っています(会計士から医者を目指すとしたときも大分周囲からは反対されましたし)。

しかし、このままですと美容外科、マイナー科はかなり飽和してきてしまいます。そこで、本当に美容外科やマイナー科などがやりたい先生だけそちらに進むためにも、大いに美容外科、マイナー科は非難されてよいと思います。非難を恐れず、進もうとする覚悟のある人だけ行けばよいと思います。そして、どんなに非難されようと、卑屈にならず誇りをもって仕事をすればよいと思います。僕もこっち側なので、自分のできること、やりたいことをきちんと行っていこうと思います。

逆に、忙しい科にいる先生は、その科を支え、人命を守っていることを今以上に誇ってよいと思います。僕では、脳神経外科や心臓外科は耐えられそうにないので素直に尊敬します。

嫌な思いをすることもある「偉さ」という見えないファクターですが、それにより我が国の医療業界が保たれていると思えば、悪いことではないのではないかと思うくまきちでした。

くまきち

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